鈴木健士著【文法を正しく使うための英語思考のレッスン】レビュー

「英語で文章を書いても、文法がちゃんと使えているか不安…」「毎回同じ表現ばかりになってしまう…」「いくら英作文しても上達を感じられない…」

そんな悩みを抱える英語初級者の方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊があります。

それは鈴木健士さんの著書『文法を正しく使うための英語思考のレッスン』(The Japan Times 出版)です。

また学習者が書いてしまいがちな日本語発想の英語をどう変えれば自然になるのか、体系的に書かれているため、英作文の添削指導をする英語講師にも強烈におすすめします

ではどんな本なのか、おすすめの理由をお伝えしていきます!

どんな本?

鈴木先生が2人の生徒・花子と太郎が会話しながら、英文ライティングで日本人英語学習者がやってしまいがちな文法的な誤りを指摘し、その英作文を添削するという流れで文法とニュアンスを学んでいくというもの。

登場人物の会話を聞きながら、鈴木先生の提案する、自然で洗練された表現を学べる仕組みになっています。

また、Chapter1、2、3と読み進めていくなかで、大事なポイントや表現が繰り返し出てくるので、気がつけば重要な点が何度も目に入る仕組みになっています(毎度のことながら、お見事です。)

著者と執筆協力者について

著者の鈴木健士(すずき たけし)氏はトフルゼミナール英語科講師・通訳者・翻訳者。

通訳翻訳者×予備校講師の二刀流の経歴を生かした、事例の違いに精通した指導力に定評がある。(巻末プロフィールより一部抜粋)

『基本の「型」がしっかり身につく自由英作文の合格教室』や『アメリカ人教師に学ぶ英文ライティングのメタモルフォーゼ』やなど、英作文に関する著書多数。

上記2冊のレビューは以前、別のブログに書いたので、ぜひご覧ください。

英文執筆協力者は日系オーストラリア人のTaka Umedaさん。Takaさんは英検®︎1級二次試験スピーキング対策専門のスクールを運営されていて、日本人英語学習者向けの英語指導のスペシャリスト。

▼Inspire English
https://school.inspire-english.net

Takaさんの洗練されたネイティブならではの表現にもたくさん触れることができるのも、本書おすすめポイント。

『文法を正しく使うための英語思考のレッスン』の特徴

本書は文法的ミスの含まれた英文を、どのように直せば自然になるのか”Before→After”形式で書かれているため、必然的にどこが間違いなのか、どのように変えればよいのか、考えながら読み進めることになります

しかも単語単位で解説があり、「なぜ」その単語を使うと不自然に響くのか、理由がわかるので、理解しやすいです

例えばChapter 1で取り上げられている間違いやすい表現、「〜できた」を表すcouldとbe able toの使い方の違い(P82)。

“I could pass the exam yesterday. = 私はその試験に合格することができた”で、なぜcouldが不自然で、代わりにwas able toを使うのか、豊富な例文と丁寧な解説で、用法をきっちりと理解することができます。

他にも間違いやすい動詞accessの使い方(P100)、日本語に訳すと「気づく」になってしまうnoticeとrealizeの違い(P108)など、読むだけでもかなり勉強になります。

Chapter 2では、30ワード弱の少し長めの文章を使って、Chapter 1で学習した内容をおさらいし、応用練習します。

そして最後にChapter 3でそれまで学んだことの総仕上げとして、140ワード程度の英作文の練習問題があります。

Chapter 2以降では単に誤りを直すだけでなく、ネイティブによる洗練された例文もあるので、読んでいて大変勉強になります。

こんな人におすすめ!

「文法」と聞くと、完了形、分詞構文、倒置法などなど、難解な文法用語だらけの抽象的な話ばかりかと思いきや、本書は実例が非常に豊富で、説明もわかりやすいのが素晴らしいところ

そのため、英作文が毎回単調な “I think__, so __.” や “It’s __ because ___.”という、構文ばかりになってしまう方には役立つこと間違いなしです。

英検®︎3級以上では避けては通れないライティングのスキル。本書を使って力をつければ、英検®︎合格の助けにもなります。

本書では何がよくて何がダメなのか、解説がとても丁寧なので、英語講師、特に英作文添削をしている先生方におすすめです

自分ではわかっていても、体系的に順序立てて人に説明するのは難しいですが、本書を読んで勉強すれば、その説明する力がつけられます。

まとめ

読了後の本書。勉強になった箇所、お手本にしたい例文が書かれた場所にポストイットを貼ってあります。

講師目線で見ると、本書は内容が濃く、これだけの情報をたった231ページに収めた鈴木さんとTakaさんの実力に脱帽です。

そして表紙にもあるように、講義形式で進んでいくため、とにかく読みやすくわかりやすい!

本書にある英作文の練習問題を解きながら読み進めるのがもちろんベストですが、問題を解かなくて間違いやすい文法とその対処法を知識として吸収するだけでもかなり力になります。

ライティング力をつけたい人はもちろん、スピーキング時に細かな文法ミスを繰り返してしまったり、自分の使う英語にいまいち自信の持てない全ての方におすすめします